ウケるアプリのポイント③「人と人がコミュニケーションしながらクルマの楽しさを再発見し」−「走る楽しさ」をアプリに活かす

さて、今回は「クルマの楽しさ」4つめの「走る」です。

「クルマで走る」という点について、「リアルで快を増やす」〜「バーチャルで不快を減らす」上でどんなアプリ(あるいはその機能)が考えられるかを、青の楕円でプロットしています。


※既存のアプリで「走る」に当てはまるものについては、ベージュの楕円(+赤の点線)でマトリックス上にプロットしています。
※前回同様こちらも適宜変更する可能性があるので、ベータ版とお考え下さい。
GPS系の中には厳密にはGPSというよりむしろスマートフォンの感応検知機能を大いに活用したものも含まれています。
「測位・測定・感知」系などといいかえたほうがいいかもしれませんが、便宜上GPS系としました。



以上、カテゴリーとしては

・リアルドライビング系
・バーチャルドライビング系

の二つに大別できます。


「走る」というのは、「車の楽しさ」から誰もが連想することであり、かつゲーム化も非常にしやすいカテゴリーです。
事実、レースゲームアプリは既に群雄割拠といっていい状況にあり、後発であるわれわれはニッチな特徴を持ったものを提案しないとユーザーに受け入れられないでしょう。


例えばトヨタ車限定レースやデフォルメカーレースなど、「レース+α」が求められるのです。その+αに何が求められるかについては、別の機会に考えます。
(正統派レースゲームの大作を作りたいという向きもあるでしょうが、それはソーシャルアプリの特性に照らしても、あるいはアウォードの趣旨を鑑みても、あまりオススメはできません)

さて、「レース」から離れてマトリックスを再度確認すると、気づくことが2つあります。
一つはGPS連動系に「リアルで快を増やす」アプリが少ないということ。
もう一つは、「走る」ことに関連してバーチャルで快を増やすアプリは、レースゲーム以外にもありえる(そりゃもう大いに)のではないかということです。


前者について。
既存のアプリでGPSを活用しているものは、


・簡易カーナビ系(主に「出かける」に分類)
・運転系
・駐車系(主に「出かける」に分類)
GPSゲーム系(主に「つながる」に分類)


などがありますが、ナビやパーキング検索など、リアルで活用するアプリの多くは「便利」なアプリではあっても「楽しい」ものではなく、したがってアウォードでもウケなそうなのです。
「リアルで運転する楽しさ」を拡大するものとしては、以前紹介したglass of water(コップの水)アプリなどがありますが、そういった類のアプリがあまり見当たらない。

マトリックス上では僕のアイデア(の種)として低燃費チャレンジや運転診断、性能診断などを挙げましたが、現在のスマホの感応装置やGPSの進化具合を見れば、このくらいのアプリは実現可能な気がします。


例えばサーキットに行って、0-100km/hチャレンジや制動距離の確認を手軽にできたり、あるいはGPSと平行検知機能を応用して上手に駐車できているかを確認/テストするアプリはどうでしょう。
あるいは運転の上手い/下手をスマホ上のアプリが指摘してきたら、ただの移動が楽しい経験に変わるのではないでしょうか。
たまにレンタカーを借りるだけの若者であっても、その経験が特別なものになり、クルマの楽しさを実感してくれるかもしれません。


次に、レースゲーム以外の「バーチャルで快を増やす」アプリについて。
さきほど、このカテゴリーに当てはまるのはレースゲーム以外にも大いにありえると述べましたが、それには根拠があります。


既存のアプリの人気動向を見てみると、「ユーザーはサン牧やfarmville、怪盗ロワイヤル、さらには各種のレースゲームなどの”硬派”(本格的)なソーシャルゲームを楽しむ一方で、ゴミのポイ捨てゲームのような”軟派”(簡単)なものも求めている」ことがわかるのです。
そもそもソーシャルゲームのユーザーはSNS上で友人とコミュニケーションをとることを主眼にログインし、ついでにゲームを楽しむという傾向が強い。
ゲーマーがPS3やニンテンドーDSに向き合うのとは全く違う姿勢でゲームを楽しんでいるのです。


したがって、
「クルマのアプリなんだから、なんとかしてリアルで面白くてグラフィックが綺麗でサウンドも良いレースゲーム(ぶっちゃけていうとグランツーリスモ的なもの)を是が非でも作らなくてはならない」
と息巻く必要は全くないでしょう。


もっと言えば、「毎日3時間プレイするハードゲーマーを生み出すものの、素人は参加しづらい」ゲームよりも、「簡単な内容で老若男女が楽しめ、かつ一日3分程度しか接触しないものの毎日プレイせずにはいられない」ようなゲームアプリのほうが、それを基点としたビジネスを構築しやすいとさえ言えるかもしれません。

僕がマトリックス上にプロットしたアイデアも、例えばブレーキングゲームや駐車ゲーム、スラロームゲーム、ドリフトコンテストなど、クルマの基本的な機能である「走る・曲がる・止まる」のいずれか一部を切り取っただけの単純なものが多くあります


レースゲームではブレーキやスラローム、あるいはドリフトができるというのは単なる”基本要件”であり、「それ自体が楽しい」という性質のものではないでしょう。


しかし、発想を転換してその一部だけを切り取り、そこに何らかのゲーム性を持たせる。
そうすることで、「走る楽しみ」をバーチャルでバッチリ伝えるアプリを、本格レースゲームを作るよりは大いに簡単に企画、開発できるのです


例えばドリフトゲームであれば、タイヤの選択、ライン取り、ブレーキのタイミング、路面の状態などの要素を絡めて、いかに迫力があり、芸術的なドリフトを決められるかを競うといった内容が考えられます。
これなら1プレイ数十秒で終わり、すぐに結果も出るでしょう。


PC上でマウスをステアリング+アクセル+ブレーキに見立てることもできますし、スマホのタッチパネルでドライバー視点のコックピットを再現したら面白いかもしれません。
芸術点はユーザー同士で評価しあうようにすれば、ソーシャル性もばっちりです。

・・・これ、結構ヒットな気もします。
・・・と思ったら、似たようなのがありました(笑)。


Drift Mania Championship ドリフトを極めてトップをねらえ!
http://androider.jp/a/84ad337fcec7e18d/



他にも「駐車ゲームって具体的に何やねん」などなど疑問がたくさんあるかと思いますが、「浮かんだアイデアをどうアプリとして具体化するか」については、また別の機会にその考え方も含めて述べたいと思います。


いや、僕も「駐車ゲームってなんやねん」って思いますしね(笑)。

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