企画素人でも販促会議賞を獲るための3つの方法





・・・いや、僕は獲ってないんですが(笑)。
「企画童貞でも販促会議賞のファイナリストになんとか滑り込むための108の奥義」とかだと、回りくどいので。



ということで、僕自身が販促会議賞に出す企画書を作っていく過程で、"これらを突きつめていけば獲れるだろうなー"と思ったポイントを大きく3つにまとめてみました。
もちろん販促会議賞に限らず、あらゆるアイデア系、企画系のコンペや実務などにも役立つと思います。
広告業界の方には当たり前に過ぎるかもしれませんが、学生や僕のような企画初心者の方の参考になれば幸いです。



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第3回販促会議賞はこちら
http://www.sendenkaigi.com/haward/


僕の企画書はこちら
http://www.sendenkaigi.com/haward/finalist/no_30.html

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①過去の結果から傾向と対策を練る





これは"賞を獲る"ということに明確にフォーカスした施策。
販促会議賞は直近を含めるとすでに3回行われており、いずれの回もファイナリストおよび協賛企業賞の企画書を閲覧することが出来ます。
過去の企画書は、NAVERまとめ「ネットで見れるすごい企画書」でだいぶ話題になったみたいです(http://www.j-cast.com/kaisha/2010/12/13083328.html)。



第一回開催時のスケダチ高広氏(審査員)のコメントに「第一回ということで傾向と対策ももちろんなかったせいだと思うが、非常に幅が広く、しかもムラがあった。」とありますが、もう傾向は十分つかめる状況にあるのです(傾向に迎合しすぎて全体の質が下がっているとの向きもあるようですが・・・)。



また、過去のファイナリストの方々が企画書作成の秘話を綴ったブログ記事もいくつかあり、非常に参考になります。
例えば・・・






・販促会議賞終了。思ったこといろいろ。
http://afromance.exblog.jp/16357332/

販促?行動する?宣伝ではなく、「販促会議賞」な訳だから、人が動かなきゃいけない。そしてモノが売れないといけない…のでは? 実は前回の販促会議賞の受賞作品でも疑問だったんだが、「単なるおもしろアイディア」もしくは「いわゆる販促施策」が多い気が…本当の意味で、手法ニュートラルな、ユニークかつ人が行動する提案は少ない印象。




・初めての企画書が、最終選考に残った アイデアの出し方
http://design.kayac.com/topics/2011/03/thinking-aid.php

会場での展示方式は、でっかい部屋にパネルがズラーッと並んでいて、企画書がぱーっと貼られているというもの。そんなにいっぱい企画あるのに、見に来た人は全部ちゃんと読むはずがない。まず2・3ページしか見てくれないだろうという前提で、シンプルで分かりやすい企画にしなくてはいけない。プロがみて、これなら効果ありそうだねというものは2次まで。最終審査は、ちょっと見ただけでいいねと思えるモノ。つまり販売促進として成立しており、かつ多くの人が「いいね!」と思う、わかりやすく、面白いアイデアが優勝するという仮説を立てました。


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・商品をいかに売るかというアイデアを出すには、まずその商品のよいところを見つけなければならない。
・大賞を狙いやすい課題と、そうでないものがある。
・課題によってアイデアの出しやすいものと、出しにくいものがある




・販促会議賞ファイナリスト 企画書のできるまで
http://blog.livedoor.jp/tukamatter/archives/51872776.html



・まったく初めて販促企画を考えた人たちが企画コンペでファイナリストに選ばれるまで
http://d.hatena.ne.jp/rectus/20110304/1299235979








・・・などなど。



また、上でも挙げた高広氏による(辛口かつ的を射た)コメントも非常に参考になりました。
なんせ審査する立場のお方ですから。
例えば・・・



・第二回販促会議賞一次審査のつぶやきまとめ
http://togetter.com/li/97187


・第3回販促会議賞1次審査 高広伯彦さんのつぶやきまとめ
http://togetter.com/li/189388


・第一回販促会議賞、グランプリ受賞者座談会を終えて。個人的雑感。
http://mediologic.com/weblog/?p=2078




など。




コピーライターの仲畑貴志氏も、著書『みんなに好かれようとして、みんなに嫌われる。(勝つ広告のぜんぶ)』の中で「プロの広告制作者は、顔も姿も見えにくい、想定顧客という多くの人々の心を奪わなければならない。それに比べれば、たった十数人ぐらいの審査員に拍手をさせるぐらいカンタンだ。数年分の受賞作品集を取り寄せれば、傾向と対策なんてひと目でわかる。その賞らしさという本命と、少しの裏切りで、大体取ることができる。」とおっしゃっていますが、やはり企画を考える前に"研究"をし、"敵"を知ることが勝利への近道だと思います。







②自分なりの型をつくる





イデア発想の仕方や、企画書の構成および作り方などなど、企画書完成に至るまでの主要なステップをできるだけパターン化してしまうということです。
例えば第3回販促会議賞でファイナリストに選んでいただいた「ソーシャル・ソーラーパネル」の場合は、発想の段階において"キーワード掛け算"という型を使いました(何かの本に書いてあったのですが、書名を失念しました)。


内容は至極単純で、ノートやケータイに気になる言葉やトピックなどを日々書き溜めていって、それらをコンペにおける各課題や商品名などに掛け算してみるといったもの。
「アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせに過ぎない」という有名な定義がありますが、その"組み合わせ"を無理やり作り出すイメージです。



例えば「AKBの総選挙」というキーワードに「爽健美茶」を掛け算すると、「15の旬素材総選挙」のアイデアや「SKB15」といったネーミングがすぐに浮かぶ・・・といった感じ。
それと同様に、「ソーシャル」というキーワードにソーラーパネルを掛け算して「ソーシャル・ソーラーパネル」というネーミングをまず造りだし、その後にその名前に引っ張られるかたちで詳細を考えていきました。



次の項目で取り上げる『アイデアのヒント』では"制約を作ろう"と説いていますが、「ものごとを一定の型に当てはめて考える」というのはその応用だともいえます。
twitterを使った企画を考えてください」という課題が与えられれば、それはいわば"所与の制約"ですが、そうではなく自分自身で「twitterを使った施策に限定して考えてみよう」、「うちの商品でも今はやりの総選挙を実施できないか」などと能動的、積極的に制約や条件をつくりだすのもアリなのです。




ほかにも、例えば・・・


・どんな課題も、オズボーンのチェックリストにとりあえず当てはめてみる
・基礎情報を頭につめこんで、それらを元に一定時間(例えば30分)アイデアを考えたら、一旦それらをすべて忘れて他のことを考えるようにする
・ターゲットを超具体的に想定して、彼/彼女にウケそうなアイデアを考える
・企画書の流れをあらかじめ決めてしまう(導入→問題提起→具体策→おわりに・・・みたいな)
・企画書は3分で読みきれる程度の文量に留める
・企画書のフォントはMeiryo UIしか使わない(笑)




・・・ことなども、広い意味で"自分なりの型"といえるでしょう。
型やフレームワークに関しては、販促会議賞のときよりもTOYOTA SOCIAL APP AWARDというコンペに取り組む過程において、より意識的に活用しました。
課題分析からクルマの"楽しさ"の抽出およびそれらをアプリに組み込む方法にいたるまで、マトリックスなどを使うことでいわば"流れ作業"的に考えていった感じです。



そこらへんの軌跡(笑)は、このブログの過去記事をご参照下さい。
ソーシャル音痴の企画素人が、ときに理屈っぽく、しかし意外に"テキトー"にクルマアプリのアイデアを考えて、TOYOTA SOCIAL APP AWARDで入賞するまでの感動巨編(嘘)です。


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・過去記事のまとめ
http://d.hatena.ne.jp/toyota_social/20110430

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③『アイデアのヒント』を実践する





イデア発想の方法論はいろいろあり、それに関する書籍も数多くありますが、この1冊がいまのところ僕の中ではベストです(具体論は他書に譲る部分があるかもしれないですが)。
過去にも紹介しましたが、この本自体がアイデア本の名作といわれている『アイデアのつくり方』を下敷きとしており、過去から受け継がれてきたアイデア発想のノウハウを、多くの偉人や事例を引用しながら説明しています。



カヤックの柳澤氏もこの本を推しており、カヤック運営の「アイデアの泉」というサイトでレビューをしています。(http://idea.kayac.com/review/detail/id/5
"メモ"というかたちで要約を載せてくれているので、あらためて全文引用します。



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広告業界でクリエイティブにたずさわる人は読んだ方がいい本

イデアというのは既存の知識の組み合わせに過ぎない

ということは、ジェームスヤングの本にもでてきますが、この著者もこれを大切にしている。

イデアとは、特別な人が出すものではないということをきっと理解できるし。

読み終わったらやっぱりアイデアマンになりたいと思わせてくれます。




以下自分メモ



1:楽しんでアイデアを出す
広告代理店を率いるオグルビーもこういってる「作る側がちっとも楽しんでいないときに
いい広告が生まれることはまずない」



2:アイデアを手に入れる人はアイデアが存在することが「わかって」おり、そうしたアイデア
を自分が見つけられることを「わかって」いる。アイデアが浮かばない人はアイデアが存在することを「わかって」おらず、自分がアイデアを見つけられることが「わかって」いない。
それだけです。



3:数を出す
生徒にこう課題をあたえる。一晩でスイスアーミーナイフの屋外広告を1つつくってこい。
そうすると中には必ず何時間も考えたけど、結局何も思いつかなかったというヒトが数人はでてくる。
でも、「スイスアーミーナイフについて最低10種類の広告をつくれ」という課題にしたとする。
で一晩の猶予は与えず、昼休みの間につくれという。
そうすると全員が少なくとも10種類のアイデアを出す。
問題を与えられたとき人は、唯一の正解を探そうとする。そういう風に教育受けてきたからだ。
で、正解を見つけられないと降参してしまう。
でもほとんどの問題はこれとは違う、たくさん回答があるのが普通なのだ、つまり答えが
たくさんあると最初からわかっていれば答えを見つけることができる。



4:すぐれた創造力とは思いのままに子供に戻る能力のことだ
子供時代の好奇心いっぱいの心にもう1度戻れたら、あなたもアイデアの宝庫がもてる。
クリエイティブなのはあなたの中の子供の部分であって、大人の部分ではない。



5:アイデアはデリケートなものなのだ、アイデアは冷笑やあくび1つでつぶされる
皮肉の一つきで息絶えたり、右隣の人がまゆをひそめるだけで心朗のあまり御臨終になる。
これが多くの人にアイデアが浮かばない理由だ。



6:クライアントのプレゼンを終えて「くそ」「すごい名案だったのにボツにしやがって」
するとこう答えるのだ
「いいじゃないか!これでもっといい作品が作れるんだから」



7:自由が多すぎると混乱する。予算がきめられ、時間がきめられ、テーマがきまっていると必ずいい作品ができる。すなわち「アイデアがわたしのところにやってくるのであって、わたしが無からアイデアを生みだすのではない。アイデアは制約がある白昼夢、方向性の定まった夢想のなかから生まれてくる」

「狭い部屋は心を引き締める。広い部屋は心を混乱させる」(byだびんち)



8:すべての問題の答えは前もって存在している、私たちに求められているのは正しい問いかけを
なげて、その答えを明らかにすることだ。



9:ある考えで頭がいっぱいになっているとどちらを向いてもそれが見える。
その匂いさえかげそうなほどだ。
問題に意識を集中させよう。頭をいっぱいにしよう。どこまでもどこまでも質問し
できるかぎり探究しよう。



10:たくさんやるだけたくさんのことがやれる
少ししかやらないと少ししかできない。

これが真実た。
それはあなたもわかってるはずだ。

イデアはアイデアをうむ。
どちらにしろ何かを考えずにはおられないのだ。どうせならほかのアイデアとか問題とか
プロジェクトを考えてみようじゃないか。


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以上、引用終わり。
これらをすべて100%実践できれば、そりゃーアイデアくらい浮かぶよ!というツッコミがきそうですが、それを可能な限り愚直に実行できる人がアイデアマンと呼ばれるのだと思います。












以上、僭越ながら「販促会議賞を獲る方法」と題して






①過去の結果から傾向と対策を練る
②自分なりの型をつくる
③『アイデアのヒント』を実践する




という3点を挙げました。
それぞれの項目についていくらでも具体化、詳細化できますが、まずはこの3つの大きな"型"を知り、活用し、さらに応用していくといった姿勢が重要だと思います。
少なくとも、"一般公募のコンペでそこそこの結果を残す"くらいの目標であれば、相当程度再現性のある方法論であり姿勢じゃないかなと思いますが、いかがでしょうか・・・。



いずれにせよ、(前回もお話したとおり)生み出したアイデアを現実化することこそが、アイデア考案以上に重要であることは疑いようがありません。
Real Artists Shipです。
・・・ジョブズの自伝は、ペプシに在籍していたスカリーを「砂糖水売っててもしゃーないやろ」といってアップルに引き抜こうとするあたりまで読み進みました。




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そんなようなことを考えたりしながら生まれた、僕の企画書@第3回販促会議賞
11/10(木)まで投票を受付中ですので、ご一読のうえ、清き一票をお願いします。





『ソーシャル・ソーラーパネル
http://www.sendenkaigi.com/haward/finalist/no_30.html

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