ウケるアプリのポイント②(可能な限り)後援企業のプラットフォーム上で動く/バッチリハマる part.4―若者の農業離れは本当か?

今回は、世界最大のSNSであるfacebookで一、二の人気を誇るソーシャルゲームであり、mixiでも展開される「FarmVille」を見てみます。


こちらは、前々回紹介したサンシャイン牧場と同様の農場シュミレーションゲームです。


SNSと牧場はそんなに相性がいいのか、」「若者は農業に回帰しているのか」と勘繰りたくなりますが、他のあらゆる業界・製品・サービスと同様に、あるヒット作が生まれたら必ずその模倣が生まれ、リーダーからチャレンジャー、ニッチャー、フォロワーから成る競争環境が生まれるのです。かくして、「牧場系」は一大ジャンルとなりました(リアルでの農業従事者確保に繋げられないでしょうか?)。

ちなみに日本では「ファームビレッジ」として、mixiで展開されています。



公式HPにおけるゲーム概要は下記の通り
http://news.zynga.co.jp/2010/12/01/farmvillage/

「ファームビレッジ」の特徴

■有名な農場主になれる
あなたの思いのままに農場を作れます!作物を植え、かわいい動物を育て、自分らしい農場を作れます。

■現実の意味をもったソーシャルな交流を通して友だちとつながれる
“実際に顔見知りの友だち”を招待し、一緒に遊んだり協力し合ったりすることで、より大きな農場主になれます。お互いの農場を助けたり、作物に肥料を与えたり、動物に餌を与えたり、心のこもったギフトを送ったりすることで交流をはかれます。ネット上の会ったこともない友だちと遊ぶよりも本当に知っている友だちと遊ぶほうがもっと楽しめるはずです。

■ケータイ版農園ゲームで過去最大、81マスの広い土地
遊んで行くうちに最大81マスまで農園がどんどん広がっていきます。簡単操作でサクサク耕せるので、レベルを上げると広大な農園が作れます。

■自分だけの農園デコレーションが楽しめる
花や農作物だけでなく、可愛らしい動物やデコレーションアイテムも多数取り揃えています。ユニークなアイテムで飾ったり、畑をアートしたり、個性あふれる農園が作れます

■お手伝い&ギフトで友だちとコミュニケーション
友だちの農園に遊びに行って、お手伝いしたりギフトを贈ったりすると、マーケットで使えるハートがもらえます。ファームビレッジは、友だちと一緒に楽しめるゲームです。



これもやはり「それ単体で、めちゃくちゃおもしろい」という性質のゲームではなさそうだな、というのはわかりますよね(笑)。


次に、FarmVille(あるいは広くソーシャルゲーム一般)の成功の要因について、
毎度おなしみループス・コミュニケーションズの斉藤氏のブログ(http://blogs.itmedia.co.jp/saito/2009/09/facebookfarmvil.html)を引用します。



■FarmVille に学ぶ「ソーシャルゲーム成功の秘訣」
FarmVilleは突出したアイディアやクオリティで大ヒットしているわけではなく,ソーシャルゲームならではの「ゲームのルール」に極めて忠実に開発されている。前回のコラムで提示した4つの黄金律をもとに,FarmVille内に散りばめられた成功のエッセンスを抽出してみよう。

1.コンテンツの価値は,そのクオリティより「友人」や「同好の人々」との情報共有,体験共有にある。
  ・友人とギフトを交換し助け合う。
  ・友人の畑を往訪したり,共同作業ができる。
  ・友人とボーナスをシェアする。



2.多くの人の目に繰り返し触れるために,「クチコミ・ドライバー」をゲームに組み込む。
・新しい友人にゲームを紹介すると最短距離でレベルアップできる。
・ウォールに表示された友人のアクティビティをクリックするとボーナスをシェアできる。



3.定期的に訪問してもらうために,「リピート・ドライバー」をゲームに組み込む。
・定期的に訪問し、収穫しないと枯れてしまう。
・一日一回,友人にギフトをプレゼントできる。(一日の最初のアクセスページがプレゼントページ)
・レベルがあがると新しいアイテムを得られる等,飽きさせない工夫が絶妙のタイミングで仕込まれている。



4.収益のキーは仮想通貨。「バナー広告」ではなく「アフィリエイト広告」と「マイクロペイメント」の有効活用だ。
・仮想通貨(Coin)を活用。アイテム等により仮想通貨獲得二ーズを演出する。
・直接購入(マイクロペイメント)するか,オファーされた行動をとる(アフィリエイト広告)により仮想通貨は獲得できる。




前回の「怪盗ロワイヤル」の項でも分析したように、FarmVilleの成功の要因も「SNS上でのつながりを軸にした①人を誘う仕組み②繰り返しプレーさせる仕組みという2つの土台に、(圧倒的ではないにしろ、それなりに)優れたゲーム性が乗っかっている」という点にあることがわかりますね。


ここ数回の「②(可能な限り)後援企業のプラットフォーム上で動く/バッチリハマる」のお話の中で、僕がゲーム/アプリの内容そのものをそこまで(というよりほとんど)深堀しなかったのも、「ゲーム性よりソーシャル性」という考えが念頭にあったからです(ゲームにあまり詳しくないというのもありますが・・・)。
サン牧、怪盗ロワイヤル、FarmVilleのいずれも、「ゲーム性よりソーシャル性」を体現し、だからこそSNS上で多くのユーザーに受け入れられたのです。

以上、3回に渡って大手SNSにバッチリハマッている代表的なソーシャルゲーム/アプリを見てきました。


次に、「そこから抽出されたヒントをいかにTOYOTA SOCIAL APP AWARD(トヨタ・ソーシャルアプリ・アウォード)でウケるアイデアにつなげるか」という本質的な問題が立ち現れてきます。

次回以降はアウォードでウケるアプリのポイントの3つ目

「人と人がコミュニケーションしながらクルマの楽しさを再発見し」

を詳細に見るなかで、「クルマの楽しさ」を「流行るアプリ・ソーシャルゲームの諸々のポイント」に結びつけることを試みます。