ウケるアプリのポイント②(可能な限り)後援企業のプラットフォーム上で動く/バッチリハマる part.1―3大SNSの特徴
それでは、今回からTOYOTA SOCIAL APP AWARD(トヨタ・ソーシャルアプリ・アウォード)でウケるアプリの5つのポイントである
①(最近いろいろなものから離れつつある)若者をターゲットにし、
②(可能な限り)後援企業のプラットフォーム上で動く/バッチリハマるかたちで、
③人と人がコミュニケーションしながらクルマの楽しさを再発見し
④(トヨタ車関連の)リアルでの購買行動につながるような
⑤ビジネスモデルを兼ね備えた(アプリ)
の二つ目、
②(可能な限り)後援企業のプラットフォーム上で動く/バッチリハマるかたちで
について、国内3大SNSのそれぞれの特徴と、それらに“バッチリハマっている”ソーシャルアプリを分析します。
まずは、mixi・GREE・モバゲーというプラットフォーム(いずれもTOYOTA SOCIAL APP AWARD(トヨタ・ソーシャルアプリ・アウォード)の後援企業です)をいくつかの観点から比較します。
これら国内3大SNSは、サービスの開始時期には多少のズレがありますが、現状の会員数はいずれも2000万人程度と、非常に均衡した状況にあるといえます。
したがって、「より多くの参加者を集めるには、どのプラットフォームがいいのかな?」という悩みは、これらのSNS間では生じません。
しかし、その2000万人の内訳は多少異なります。
わかりやすく言うと、
(前提としていずれのSNSもその会員の多くは10代後半〜20代ですが)
・mixiはやや20代の構成比が高く、
・GREE、モバゲーは30代の構成比が若干高い
ということです。
ちなみに、『ソーシャル・ネット経済圏』という本の中でGREEの田中社長が「グリーの会員は現在、30代以上が44%以上」と言っています。
特にモバゲーは一貫してソーシャルゲームを戦略の軸としてきたため、当初は10代の比率が非常に高く、会員数拡大の頭打ちを避けるために、現在は30代以上を取り込もうとする姿勢が明確です。最近も「大人のモバゲー」といった広告が展開されていますね。
モバゲーの戦略の話が出ましたが、それぞれのSNSの戦略や今後の事業計画の展望についても、大枠は似ていながらも各々明確に異なります。
・mixiは正統派SNSとして「リアルでのつながりがそのままウェブ上でも展開され、それを中心にバーチャルなつながりが拡大している」のが強みであり、今後はその”現実に即した”リアルなソーシャルグラフ(人と人とのつながり)を軸としたプラットフォーム化を目指しています(世界最大のSNSであるfacebookのオープン戦略に大いに影響されています)。
・GREEの戦略はモバゲーに近い印象がありますが、田中社長のコメントを紐解くと、
「GREEはゲームサービスではない」
「僕らはコミュニケーションを加速させるために「ゲーム」を選んでいるだけ」
「1億人が使うSNSにしたい」
など、現状の強みであるゲームを切り口に、より「総合的な強み」を構築していくことを狙っている ことがわかります。
mixiと同様にソーシャルグラフの公開・活用を今後の戦略としていることからも、その志向がうかがえます。
・モバゲーは当初から明確に“ソーシャルゲーム”を軸に据えており、「ゲームを楽しむ」という点で嗜好や価値観の近い人々のウェブ上での強固な繋がりが特徴であり、今後も発展を続けると見られる「ソーシャルゲーム」分野での覇権を狙っています。
それでは、それぞれのSNSの収益構造はどうなっているでしょうか。
こちらは、「正統派SNSのmixiに対してGREE、モバゲーはゲームの課金で稼いでいるだろうな」というイメージどおりとなっています。
具体的には、
・mixiは売上の9割が広告で1割がユーザー課金(mixiプレミアム会員の会員費など)
・GREEは売上の3割が広告で7割がユーザー課金(ゲームのアイテム課金など)
・モバゲーの売上は広告、ユーザー課金(ゲームのアイテム課金など)がそれぞれ5割
となっております。
現状の「儲けの構造」を見ると、純粋にゲーム性の高いものや、課金のスキームが必要なアプリに関しては、mixiよりもGREEやモバゲーのほうが適している(ユーザーがそれをすんなり受け入れる土壌がある)ことは間違いありませんね。
また、おそらく多くの人のアイデアに関わってくるであろう「アバター」に関しても、明らかにGREEとモバゲーのほうが親和性が高いといえます。アバターを着飾り、またそれに対する課金も厭わない文化が、この二つのSNSにはあるからです。
※データやグラフはhttp://blogs.itmedia.co.jp/saito/2010/01/facebook-mixigr.htmlなどを参照のこと(記事内のデータもこちらを参考にしています)。
この記事以外にもloopsの斉藤徹氏のブログは非常に参考になります。正直、loops&斉藤さん監修の『ソーシャルメディア・ダイナミクス』などの書籍よりも、ブログのほうが圧倒的におもしろいし役に立ちます。ビジュアルも多用され、とにかくわかりやすいです。これほど貴重な情報がタダで読めることが不思議なくらいですよ。
次回はそれぞれのSNSにバッチリハマっているアプリの事例を見ます。
・・・と思いましたが、今話に出た「アバター」に関連して、僕の中の“アイデアの種”をお話ししたいと思います。