ウケるアプリのポイント①若者をターゲットとする ―最近の日本の若者とは? part.5

それでは、SNS上のアプリを活用したキャンペーンについて、他業界の事例を見てみます。

まずは、mixiで展開された「コカ・コーラパーク スゴイ自販機」です。
詳細はhttp://c.cocacola.co.jp/svm/


このキャンペーン/アプリは、前回紹介したホンダの2つのキャンペーンと非常に似た仕組みですね。
要するに、「クジを引くと1等100万円を筆頭に、いろいろ当たるよ」ということです。

ちなみに、コカ・コーラの会員サイトである「コカ・コーラパーク」に登録するとクジを引ける(自販機を使える)回数が増える(基本はクジを引くためのコインは8時間毎に1枚支給され、保有の上限は3枚まで/コカ・コーラ パークの会員は2時間に1枚支給、保有上限は10枚)というのがこのキャンペーンがユーザーに与えるネギ(インセンティブ)ですが、この点はホンダのほうが一枚上手という気がします。

つまり、ホンダのキャンペーンはマイミクのつながりを刺激して参加者そのものを加速的に増やす仕組み(人を誘うと当選確率が上がる)がありましたが、コカコーラのキャンペーンにはそれがないのです。マイミク1人連れてきたらコイン3枚プレゼント」などとしたほうが、一気に人が集まるのは自明でしょう。

ちなみにこの仕組みは、以前(僕が小学生の時です・・・しみじみ)ブームになった、ホラー映画「リング」の”呪いのビデオ”の仕組みと同じです(笑)。
「リング」では、自分が助かるためにはビデオをダビングして他人に見せる必要がありましたが、ホンダのキャンペーンでは「自分がトクするためには他人を誘う必要がある」のです。
どちらも、見事な「自己増殖」の仕組みです。

一方で、アプリそのものが、単にクジをひくだけでなく「ゲーム要素を有している」点は、TOYOTA SOCIAL APP AWARD(トヨタ・ソーシャルアプリ・アウォード)でウケるアプリを考える上でも参考になります。

若者がアプリ自体に「おもしろさ」を認め、繰り返しそれを使用し、バイラル(口コミ)で友人に伝えることが大いに想定されるからです

ホンダのアプリにはそれがありませんでした。
(上で述べたように、「人を誘う」ことを促す仕組みがもうすこし上手ければ、スゴイ自販機はもっともっとスゴイ話題になっていたかもしれません)。


次に、ネスレの「KIT KAT TOWN」です。
詳細はhttp://nestle.jp/brand/kit/


こちらも、(まだまだ前例の少ない)SNS上のキャンペーンの成功例と言われています。


ねらいは「キットカットのリニューアル発表会を、mixi上でやろう」というものですが、先着1万名にキットカットの無料クーポンを配ったことなどが呼び水となり、結果としてバーチャルの発表会に22万人が参加しました。

このキャンペーン/アプリも、他の事例と同様に「プレゼント/懸賞」をウリにしていますが、アプリとしてのおもしろさ(若者にウケた点)は、「アプリ内で自分のアバターを作れる」ところにあるでしょう。しかも女の子ウケしそうな、かわいいアバターを作ってコメントをつぶやけるため、多くのユーザーに一気に広まったのです。コカ・コーラと同じく、アプリそのものに付加価値を付けて、ユーザーを集めた成功例といえます。


以上見てきたように、現状では「キャンペーンを行う企業の商品/サービス”そのもの”のよさを十二分に伝えることに寄与するアプリ」の理想形はまだ見当たりませんが、だからといってプレゼント/懸賞のみをインセンティブとする(ホンダのマイミくじはその傾向が強い)のではなく、”アプリ自体が若者にウケる”ことで人を集めることに成功した事例も散見されるのです。

トヨタが求めているのも、「それ自体が若者にウケる」アプリであることは言うまでもありませんね。