プロのアイデアを参考にし、応用する

それでは、昨日紹介した石井力重(りきえ)氏の12個のアプリアイデアについて、別の角度から見ていきます。
まずは、新開発(大げさです)の「クルマの楽しさ網羅チャート」に、それぞれのアイデアを当てはめてみました。




左側は氏の著作の広告スペースとしました(笑)。

このチャートは、クルマの楽しさ6つを縦軸(時系列ではない)にとり、クルマアプリのアイデアを当てはめてみることで、そのアイデアがどんな要素を含んでいるのか(あるいは含んでいないのか)を分析するのに使います。


例えば、「シンゴウ千里眼」をチャートに当てはめて、「”走る”に偏り、”出かける”や”つながる”の要素が弱いな」と思ったとしたら、それらの要素を足せないかと考えるのです。あるいは、すでに思いついたアプリのアイデアと合体させてもいい。


「シンゴウ千里眼」と「おすすめコース」、「iAM」、「親切ポイント」を組み合わせれば、例えば他車の位置情報から単純に赤信号を予測して減速を指示するだけでなく、渋滞を予測して別のオススメコースを提示したり、「渋滞なう」や「動かないなう」などのつぶやき(とりあえず「なう」っていっとけばツイッターっぽいと思ってる僕です)を位置情報と結びつけてより正確な渋滞予測をしたり、そのつぶやきをくれた人に親切ポイントをあげたりできる。


こうすれば、もともと”走る”の要素の強かった「シンゴウ千里眼」に、”出かける”や”つながる”の要素が組み合わさり、より魅力的なクルマアプリとなるのです。


また、昨日も指摘したとおり、どんなアプリであっても”つながる”の要素を持たせないと、ソーシャルアプリとしては評価されないでしょう。


石井氏のアイデアの中から、アウォードの趣旨に合致し、かつ「ソーシャルアプリ」として特におもしろいと僕が思うのは、「おすすめコース」と「ぷよぷよAPP」、そして「親切ポイント」です。



・「おすすめコース」
こちらは僕が考えた「ソーシャル・ドライブナビ」(http://d.hatena.ne.jp/toyota_social/20110316/1300264685)のシンプル版といった印象。

機械による”合理的”なリコメンデーションではなく、実際にそこを走った人の声を集めて「おすすめ」を生み出す仕組みは、テレビCMではなく価格.comで評判を見て購買行動をすることや、多くの人が情報収集の起点をGoogleからfacebook(に代表されるSNS)に移し始めたことのアナロジーといえます。人の意見を集約し「見える化」する、あるいは人のつながりを活かすことが、ソーシャル性(ソーシャルアプリ・ソーシャルメディア)のキモなのです。



・「ぷよぷよAPP」
同じクルマが複数集まったら消える(たまに16連鎖とかして、黒い”おじゃまクルマ”が空からドカンと降ってきたり・・・)のではなくポイントが入るようにすれば、リアルとバーチャルの垣根を越えた立派な「ゲーム」になりそうです。

これはアイデアの種として非常におもしろそう。12個中最も化ける可能性があるのは、このアイデアな気さえします。



・「親切ポイント」
これは素晴らしい仕組みです。先に「人の意見を集約したり、人のつながりを活かすことがソーシャル性のキモ」だと述べましたが、この「親切ポイント」はそこに留まりません。

すなわち、ソーシャルな仕組みを用意することで「優しい運転を心がけよう」という人が増え、それによって親切ポイントをあげたりもらったりする人が増え、さらに優しい運転者が増えるという好循環を生み出しうるのです。
親切ポイントを他のゲームアプリなどで使用できるようにしたり、あるいはリアルでクーポンとして使えるようにすれば、より効果的でしょう。


もちろん、「親切ポイント」単体ではアウォードでウケるアプリにはならなそうですし、またインフラ面でもシステム面でも早期の実現可能性は低いかもしれませんが、いずれは全てのクルマにこういった機能が積まれるのが理想です。
スバルやボルボが先導する「ぶつからない車」とは真逆のアプローチですが、ともにアクティブセーフティ(予防安全)を志向するものでもあります。


クルマを堅牢にしたり、エアバッグを改良するなどのパッシブセーフティも一つの手段ではありますが、究極の理想はそもそもクルマが事故を起こさないことでしょう。




以上、アマチュアたる僕が石井力重プロ(あるいは石井三段とか石井先生でもよい)のアイデアに対して講釈を垂れるなどという恐れ多い企画を、2回に渡って展開してしまいました。


氏のアイデアをまるパクリするのはいただけませんが、参考にしたり一部借用するのは全く問題ありません。
それどころか、「真似をする」ことはアイデア考案の正当な手段であり、その点は石井氏も同じ意見でしょう。
このブログも、役立つところだけを参考にしていただければ幸いです。


いずれにせよ、アウォードに限らず、石井氏のアイデア考案メソッドはあらゆる場面で役立ちそうです。
いくつかリンクを張っておきますので、ご参照下さい。



・1人ブレインストーミング”4つのルール
http://bizmakoto.jp/bizid/articles/0908/04/news006.html

・3分で必ずアイデアが生まれる
http://bizmakoto.jp/bizid/articles/0907/09/news034.html



僕は早速『アイデア・スイッチ』をアマゾンで買いました(笑)。

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