どんなアイデアが求められているのか―アウォードの概要と主催者の発言から読み解く

それでは、アイデア云々の前にまずは「アウォードではそもそもどんなアイデアが求められているのか」、「どんなアイデアがウケるのか」を考えます。
「敵を知り己を知れば百戦危うからず®」by 孔子であり、己の力でアイデアを発揮する前にまずは敵、ここではTOYOTA SOCIAL APP AWARDで我々に課されているテーマを徹底的に分析することが必要なのです。100万円ぽっちを狙ってアウォードに出すのではなく、自分で事業化すれば何億と金を生み出すであろうめちゃくちゃ素晴らしいアイデアであっても、本アウォードのテーマに反していれば評価はされません。下記の通り、今回のテーマは少々曖昧であり、的外れのアイデアを考えてしまうリスクが結構あるように思うのです。

さてそのテーマですが、公式HP上では

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「クルマに興味を持ってもらえるアイデアを募集します」
「より多くのアイディアを広く集めたいという思いから、ソーシャルアプリの企画を募集します」
「クルマを楽しくする、クルマへの関心を高めるような要素をいれた企画を立ててください」
「クルマに関連する(クルマの楽しさ・面白さが伝わる)アプリであれば、どんな企画でもOK」

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・・・くらいの情報しかなく、やはり非常に漠然としております。
本稿では、この漠然としたトヨタからの”課題”をもうちょっとわかりやすく噛み砕いてみたいと思います。以下少々長いですが、「なるほど」、「それはちがうだろ〜」などなど、どしどしツッコミながら読んでください。

まず大前提として、今回のTOYOTA SOCIAL APP AWARDは「若者のクルマ離れをどうにかしたい」というトヨタの、あるいは日本の自動車業界の切実な問題意識からスタートしていることが挙げられます。
それを裏付けるように、記者発表でトヨタマーケティングジャパンの代表取締役 高田坦史氏は今回の取り組みを「デジタルカルチャーに馴染んだ世代向けの新しいマーケティング」といっています。
第一のポイントは

①(クルマ好きのおっさんではなく、最近いろいろなものから"離れ"つつある)若者にフォーカスする

ことです。

また、その若者にアピールするために、彼ら(僕も定義上若者ですが・・)が大好きなソーシャルアプリ、あるいはSNSなどのデジタルを駆使しましょうというのがトヨタTOYOTA SOCIAL APP AWARDを通じて実行しようとしている戦術です。これはSOCIAL APP AWARDという名前が物語っていますね。ただ、単純にSNSにのっかるようなソーシャルアプリをつくればいいというわけではなく、公式HPに紹介されている後援企業を注視してみる必要があるでしょう。そこにはmixiGREEなどの国内最大手SNSの名前が並んでいますが、例えばAmebaを運営しているサイバーエージェントや、世界最大のSNSであるfacebookなどの名前はありません。そこから当然、下記のポイントが導き出せます。

②(可能な限り)後援企業のプラットフォームで動く/バッチリハマるアプリを考える

・・・「アメーバピグはものすごく今回のテーマと親和性高そうなのに・・」とは言わないほうがベターです(ナシではありません)。

次に、アプリの内容そのものですが、これはとにかく「クルマを楽しくする、面白くするような」ものを作らなきゃダメです。また、前述のトヨタマーケ高田坦史氏は「人と人との繋がりを重視することでクルマの魅力を再発見できるのではないか」といっていますが、これこそがソーシャルアプリのキモでしょう。言い換えれば、アプリを使って人が繋がり、クルマの楽しさを再認識して(できればリアルのクルマも楽しむようになって)ほしいということです。第三のポイントは

③人と人がコミュニケーションをとって、クルマの楽しさを共有できるアプリ

です。

そして、本業はあくまで四輪車の製造と販売であるトヨタは、「アプリで楽しむだけじゃなくて、実際にトヨタのクルマに乗って、走って、ディーラーにきて、いろいろ(点検や買い替えなどなど)してほしいな・・・でも、若者にはとりあえずアプリを通してクルマの楽しさを知ってもらって、後々実際のクルマも欲しいといってもらえれば御の字だ」という真意があると思います。まとめると、

ソーシャルネットワーク上で完結してしまうのではなく、トヨタの国内売上&利益の増加に資するような(リアルでの購買行動を促すような)施策の一環としてのアプリ

が求められているということです。
もちろん、ホンダがmixiで行った「Ole! Ole! CR-Z」キャンペーン(http://mixiap.com/ap/crz.html)のように、SNS上での話題性UP&認知度UPによって間接的に売り上げへとつなげるという考え方も大いに(そりゃもう大いに)アリですが、理想はもっともっとわかりやすくリアルでの行動に直結するようなアプリのはずです。
また、もちろんアプリはゲームに限りません。ただ、ソーシャルアプリアウォード運営事務局の堂前泰志氏が「企画は必ずしもゲームに限らないが、楽しさや面白さも評価対象なので、ゲームアプリが中心になると想定している」と発言しているので、ゲーム要素は多かれ少なかれ必要そうです。ただ、 ちょっと検索すると「トヨタが若者をターゲットとしたソーシャル”ゲーム”のコンテスト開催」という書き方が結構されていますが、これは的外れであり、文字通り敵を見誤っていると言えます

以上、ざっくりTOYOTA SOCIAL APP AWARDのテーマのポイントをまとめると、

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①(クルマ好きのおっさんではなく、最近いろいろなものから"離れ"つつある)若者にフォーカスして、
②(可能な限り)後援企業のプラットフォームで動き/バッチリハマり、
③人と人がコミュニケーションをとってクルマの楽しさを共有しつつも、
ソーシャルネットワーク上で完結してしまうのではなく、トヨタの国内売上&利益の増加に資するような(リアルでの購買行動を促すような)施策の一環としてのアプリ

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・・・を作って送ってくれたら嬉しいなというトヨタの想いが浮かび上がります。
どうでしょう、公式HP上の「アウォードの概要」にはここまで具体的には書いてないですよね。皆さんはどうお考えでしょうか。
なお、主催者の発言は
http://www.4gamer.net
http://game.watch.impress.co.jp
を参考にしています。
・・・どちらもURLにgameの文字が。やはりゲームなのか・・(笑)。